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【連載】橘めいの『いつだってファイティングポーズ』
第23回 フレンドシップ or セックス？
率直に言うと、気を抜いていた。
髪の毛も短くしてしまったし（超スーパーショート）、
息子が小学生になって最近はどこにでも一緒に行くようになったので
あたしもすっかり人前じゃ母親ヅラしてるし（一応母親なんだけど）、
誰かがあたしのことを女として見ることがあるなんてあんまり考えてなかった。
だから先日、あまりにも露骨にセックスの土俵に上げようとする男が現れたので面喰らった。
そして、そのことに面喰らってる自分に面喰らった。
あたしはついこないだまで、モテたいだなんだ言ってたんじゃなかったか？と。
モテっていうのはセックスの土俵に上がることじゃなかったのか？と。
もちろん、綺麗でいたいと思ってるし、女でいたいと思ってるし、
それなりに身なりに気を遣ったりして、女装してるつもりではいたんだけど、
それでも本業で女やってる人たち（恋愛市場にいてボーイをハントしたり
ボーイにハントされたがってる人たち。）に比べたら、
あたしの女装なんてたかが知れている。
男の人は記号に従順で素直な人が多いので、
女が『女』の記号を振りまいていればたちまちそういう『女』を欲してる男が寄ってくる。
それをやれるかやれないかっていうのは自意識の問題だったり
持って生まれたポテンシャルだったりが関わってくるとは思うんだけど。
（ていうか、それが一番大きいよね・・・）
先週の『ホンマでっか！？TV』で印象評論家の重太みゆき先生が
「夏のBBQで使える女性のモテ仕草」ってのをやってまして、
見てたらホントに過剰に女やり過ぎてて笑っちゃうんだけどさ。
意外とこういう女がモテるのかもしれないと思うと笑ってもいられないというか。
たとえばBBQで背中を蚊に喰われちゃった時のモテ仕草は、
ただ単に背中に手を回して掻くんじゃなくて、
まず男の人に「蚊に刺されちゃったみたい～」と言いながら背中を見せて・・・
からの、振りかぶって男の人の方を向き直りながら両脇を見せつつ
両手を背中に回して「かゆい～！」と目をキラキラさせながら掻くっていう、
どんだけアクロバットな動きするんだよ！男もビックリするわ！っていう技でした。
まぁでもこれ（過剰な記号としての『女』）をやって寄ってきた男と
最終的にどうなりたいのか、ってことは最大の問題な気がする。
「モテ仕草」ってのは確かに耳障りがいいけど、
「モテ」て、どうしたいのか。
自分にとっての「モテ」とはなんなのか。
そう。
あたしは確かに、セックスの土俵に上がっていられることを「モテ」としてたし、
そういう風にモテたいと思ってたはずなんだ！
つい最近まで！
だけども、どうやら今のあたしのムードはそうではないらしくて、
先週も書いた『フレンドシップ』であるらしい。
髪をショートにしたりしたのも、無意識のうちに
「あたしのこと『女』として見てくれるなよ？」
という気分があったからなのかもしれない。
先週紹介した『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』の中で、
「恋愛というのは友情の上にセックスが乗っかっただけなんじゃないのか。」
というような言葉が出てくるんだけど、あたしは今までそういう風には考えたことがなかった。
むしろ友情とセックスというのは同時に成立しないと思っていた。
でももしかしたら、友情（上下関係や利害関係がない）の上にあるセックスというのが、本当の意味でのセックス（愛情表現、コミュニケーション）で、
そういうセックスの方が自分のことも大事にできるし、
承認欲求としてのセックスにならずに済むのではないか？と思うようになってきた。
だから、初めて知らない男の人と知り合った時に、「モテ」がめんどくさい、
セックス（「モテ」）よりもまず友情を育みたいという気持ちになってしまったのだ！
これはあたしが恋愛市場にいない女だからそう思うのかもしれないんだけどね。
（結婚してる立場の人は恋愛をしちゃいけないというものすごく強固な倫理観があるみたいだからね、どうやら日本って国は。だからあんなにベッキーが叩かれるわけで。窮屈なことですよ、本当に。）
だって、せっかく知り合ってさ、その人がどんな人かもまだ知らないのに、
セックス（男と女）になっちゃうのって、もったいない気がしない？
もしかしたら同じ趣味があるかもしれないし、話してみれば共通の経験があったりするかもしれないじゃん。
じゃあ一緒にお芝居観に行こう、飲みに行こう、ライブに行こう、っていうことを、
友達だったら気軽に誘ったりできるし、断られたって気にしないでいられるけど、
男と女になっちゃうといちいち意味がくっついてきちゃって、気軽に連絡もできなくなるじゃない？
それってとってももったいないような気がするの。
まずは友情があって、その人ととっても気が合うんだったら、
セックスもその上に乗っけてプラスですればいいんじゃない？
やっぱり女の子の話聞いてるとね（特に、かわいい子）、
すぐにセックスの土俵に上げられるのもなかなかしんどそうだなと思うわけですよ。
だからフレンドシップ or セックスっていうよりは、
フレンドシップ and セックスってことで！
まずはお友達からよろしくお願いします。
◆ライタープロフィール
橘めい
『Ladies Motivation Project』代表
（通称LMP＝すべての女たちがそれぞれ自分自身の美しさを肯定し、ありのままの自分を謳歌し、生き生きと力強く楽しんで生きることを応援するプロジェクト。）
モチベーター/ライター/イベントプランナー
男と女、恋やセックス、女の自意識と加齢などについて日々考え続けている33歳。酒と映画と男をこよなく愛しています。パワースポットは歌舞伎町（二丁目含む）。一応、一児（6歳男子）の母。
BLOG /『ハレンチには程遠い』
X / @TachibanaMay
提供：GIRL’S CH
