女性向けのオススメ作品やイケメンをご紹介！
【連載】橘めいの『いつだってファイティングポーズ』
第19回 シャンパンの正体
先日TVを見ていたら、驚きの光景が映し出されていて、
あたし急いで出かけなきゃいけないのに思わず化粧をする手が止まってしまった。
「芸能人でもないのにXのフォロワー数が5万人を超える若者」への密着取材で、
一人目は「かじゅ魔」くんという原宿でアパレル店員をしている18歳の男の子だった。
彼がお店に出勤する日をツイートすると、開店と同時にファンが来るわ来るわ、
開店から2時間くらい接客もせずほぼ写真撮影・・・（いや、これが接客なのか？）
お店の一画では「魔」の文字が入ったニット帽だのTシャツだのという
「かじゅ魔グッズ」が売られていて、かじゅ魔くんに会いに来たお客さんは
もれなくそれらを買っていく。
（ちなみにかじゅ魔くんの時給は900円。グッズ販売のバックは無し。大人って怖いわ～。）
10代の女の子たちが「かじゅ魔に貢いでます～」「5万は使ったよね！」
と喜々として話す姿を見て、昼間から茶の間でのけぞってしまったよ、あたし。
あれ？これってホストの話じゃないよね？笑
そしてAAAの西島くんに似てると言われているらしい「ナオピー」こと天野眞隆（あまの・なおたか）くんはフォロワー数がなんと7万人を超える。
そのナオピーが出演するというイベントの様子がこれまた驚愕だった。
入場料は3,500円で、会議室のようなところに若い女の子たちが約30人くらい長机を並べて座っている。
（制服の女子高生が多数。）
イベントの内容はナオピーと同じようなXで人気のイケメンたちが5,6人集まって
ゲームをしたりするというもの。
そしてそのイベントが終わると、別室に移動してチェキ会が始まる。
料金は1枚756円で、事前に枚数を申請して先払いする。
（追加撮影をする場合は1枚の値段が1000円くらいになる。）
このチェキの撮影が驚くほどの密着具合だった・・・！
ハグ、バックハグ、壁ドン、頭なでなで、イケメンが女の子の口に手を当ててそのうえからキスしようとするようなポーズ・・・などなど。
これを若い男の子たちが、これまた若い女の子相手に恥ずかし気もなくやってのけるわけ。
もちろん女の子たちはきゃあきゃあですよね。
そりゃ追加撮影もしますよね。札が舞いますよね。
あまりのうれしさに泣いてる女の子もいたよ。
そうだよね。1枚756円なら安いもんだよ。
ホストクラブいくらすると思ってんだ！（そういう問題じゃない！？）
時代はここまで来たか、と思いましたね、あたしゃあ。
今まで、アイドルやホストなどの一部の男たちがやっていた
『男』を商品にする（すなわち金に換える）ということを
いよいよ普通の男たちもやり始めたんだなあ、と感慨深い気持ちになりました。
これはもう一億総ホスト化ですよ。（言い過ぎ）
だけど冗談ではなくて、これとホストは何が違うのか？ということを考えた。
もちろん、ただあのイケメンたちのことが好きで、会えるだけでうれしくて、
チェキを撮るだけでうれしくて満足できるという女の子もいると思う。
でもそうじゃない女の子たちもいるだろう。
彼女たちはいつまでチェキだけで満足できるのだろうか？
独占したくはならないだろうか？
自分だけ特別扱いしてほしいと思われたくならないだろうか？
もしそうなった時はどうするんだろう。
それはお金を人よりもたくさん使うしかないんじゃないか？
ツーショットで写真を撮っている間は、自分だけが独占できる時間なわけだから。
そして、目当ての男の子からは、「いっぱいお金を使ってくれる子」として
きっと優しくしてもらえるだろう。
それってもうホストと一緒じゃん！！
ホストにシャンパン入れる客と一緒じゃん！！
応援してあげたい、NO1にしてあげたいって言うし、それはそうなんだろうけど、
その実、そのシャンパンに隠されたもうひとつの意味は『承認欲求』だ。
「これだけのシャンパン入れたあたしを認めてほしい」
「他の客よりもいい扱いをしてほしい」
正直、独占欲より厄介な代物である。
高校生のうちから「お金」を「承認」に替えられるということを体験しちゃう
この女の子たちは一体どうなっていくんだろう、と怖くもなった。
だって、若いうちはそんなことしなくても十分他のところでその「承認」を入手できるはずなんだもん。
（例えば部活とか友達とかさ、あとは趣味とかさ。）
でもこれって気質の問題で、もしかしたら年齢は関係ないのかもしれない。
かく言うあたしは、この気質のせいで昨今色々なものにハマっているわけですが、
そろそろシャンパンの正体もわかったことだしホストクラブから足を洗おうとしているところであります。
（ただ楽しみに行くだけの場所なら全然いいんだけどね！）
「承認」は、お金を払わなくても別のところできっと、得られる。
そもそも誰かからの「承認」なんか得なくたって、自分で自分を「承認」できるくらいに
強くなればいいんだよ。
それが難しいんだけどね！
でもあたしはまたひとつ学習しました。
だから、そのことに気付かせてくれたホストの皆さま（特にキミ）、本当にありがとう。
◆ライタープロフィール
橘めい
『Ladies Motivation Project』代表
（通称LMP＝すべての女たちがそれぞれ自分自身の美しさを肯定し、ありのままの自分を謳歌し、生き生きと力強く楽しんで生きることを応援するプロジェクト。）
モチベーター/ライター/イベントプランナー
男と女、恋やセックス、女の自意識と加齢などについて日々考え続けている33歳。酒と映画と男をこよなく愛しています。パワースポットは歌舞伎町（二丁目含む）。一応、一児（6歳男子）の母。
BLOG /『ハレンチには程遠い』
X / @TachibanaMay
提供：GIRL’S CH
