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COLUMN

【連載】橘めいの『いつだってファイティングポーズ』
第21回 もう「ババア」とは言いません宣言

先ごろ、あたしよりも少し歳の若い女の子たちと飲む機会があったのだけど、
その時に一人の女の子(30歳手前)がこう言ったわけです。
「同じ年頃の女たちが自分たちのことを『ババア』って言うのがホントに嫌だ!」と。

それを聞いてあたし、そうなのか~なるほど~と思ってだね。

あたしが文章や会話の中でどういう時に「ババア」という言葉を使っているかというと、
なんとなく自分自身(たまに他人の場合もあるけど)の行動や考え方に対する
客観的なツッコミのワードとして使っていることが多い。

「もうあたしババアだし~」というような開き直りで使っているような意識はないし、
自分や同じ年頃の女たちを蔑む言葉として使っているつもりもない。

ノリ的には、二丁目の方たちと非常に近いと思っている。
(二丁目の人は「あんたってホント、どゲイね!」とか「もうこのオカマは!」
みたいなことをよく言う。)

「あたし達、どゲイよね~」っていうのと「あたし達、ババアよね~」っていうのは、
意味合い的にはほとんど同じマインドを表している。
自分や、自分と同じ状況の女たちへの親しみを表す言葉として、
あたしは「ババア」という言葉を使っているつもりでいた。

だがしかし、「どゲイ」と「ババア」の違うところは、
「どゲイ」は絶対的であるのに対して、「ババア」は相対的であるということだ。

何歳以上の女を「ババア」と考えるのか、
「ババア」という言葉にどんなイメージを持っているかは、人によって様々だ。

だからそこに、誤解が生まれる。

20代後半~30代の女が「あたし達もうババアだよね~」って言ってたら、
もっと年上の人たちからは「何言ってんの?あんたら全然まだババアじゃないじゃん!」と思われるし、
同世代の人からは「やめてくれる?一緒にされたくない!あたしはまだババアじゃないし!」と思われてしまう。

「ババア」という言葉をどう使うのが正しいのか。
あたし自身本当に「ババア」という言葉を肯定しているのか。
本当に、親しみや優しさを表す意味だけにおいて使用しているのか。

あたしも真剣に考えてみた。

例えば若い男の子を前にして「ごめんね~ババアだから~」と言う時、
それはこちらの意図したようには伝わらず、「いや、ババアじゃないですよ!」
と言われて「そういう意味じゃないんだけどな、うーん。。。」となる場面が何度かあった。

「もうあんたってホントにどゲイ~!」という言葉がゲイのコミュニティ内で
使われるのであれば誤解が生まれないのと同じように、
「ババア」という言葉も同じ世代の女たちの間(特に親しい仲やコミュニティ内)で使われる分には、
それが親愛や信頼を表す言葉だということをお互いに承知しいているのだが、
これを年下(男も女も)に向かって使う場合、この言葉は途端に通用しなくなる。

というよりも、別の意味を持つようになる。

それは「照れ」と「逃げ」だ。

蔑みも自虐もないけれど、あたしにも「照れ」と「逃げ」があったことは認めます。

だって、恥ずかしいもん。
若い男の子や女の子を前にした時、ババアになっちゃった方が楽なんだもん。
「あたしもう圏外!男と女の物語の外にポジショニングしてます!」
ってした方が楽なんだもん。
女の土俵に引きずり出されんの、怖いもん。

女の土俵に上がりたくないっていうのは、あたしが身なりも化粧も気を遣わない、
遣いたくないってことではないんだよ。
じゃあ、何が怖いかって、若い女と比べられるのが怖いんだよ。

だから「ババア」になる、というのは、
土俵に上げられる前に自分から降りてしまう、という防衛本能でもあるわけです。

だけどどうして、若い女と比べられるのが怖いのか?

それは、日本には「若い女こそが女として価値がある」という物語が蔓延しているから。
そう思わせているのはあたし達と同世代の男たちと、あたし達より上の世代のジジイどもである。
(30過ぎた女に対する、同世代の男の扱いってホントにヒドイと思う…)

実は案外若い男の子たちは、30代の女に対して変な思い込みや偏見がない。
そりゃある程度小ぎれいにしてなきゃいけないのは当たり前だけど、(清潔感ね。)
きちんと綺麗にしてる女の人に対してふざけてだって「ババア」なんて言わないし、
たぶん思ったりもしてないと思う。

それなのに、戦う前から、逃げていた。
戦う相手は若い女ではなくて自分なのに、
あたしは、自分で自分に、負けていたのだ。

歳なんて関係ない!記号だ!とか言っておきながら、
本当は加齢していくことをビビってたのかもしれない。

若い女と比べられたっていいじゃん。
というか、若い女と比べたら歳取ってるのは当たり前だ。

だけど、若さ以外に戦える武器がないなんて、そんなのは自分のことを見くびりすぎているんじゃないだろうか。

自分と同じ年頃の女をババア扱いする同世代の男たちやジジイ連中は放っておこう。
「女は20代!」とか言ってる男はほっとけ。こっちも用はない。

大切なのは自分で自分をどう思うかだ。

大丈夫だよ、ババアじゃないよ、イケてるよ。
戦う前から怯むのはやめよう。

若い子に向かって、自分のことを「ババア」と言うのはやめます。

あたしは、加齢を華麗にぶっちぎってみせます。


◆ライタープロフィール

橘めい
『Ladies Motivation Project』代表

(通称LMP=すべての女たちがそれぞれ自分自身の美しさを肯定し、ありのままの自分を謳歌し、生き生きと力強く楽しんで生きることを応援するプロジェクト。)

モチベーター/ライター/イベントプランナー

男と女、恋やセックス、女の自意識と加齢などについて日々考え続けている33歳。酒と映画と男をこよなく愛しています。パワースポットは歌舞伎町(二丁目含む)。一応、一児(6歳男子)の母。

BLOG /『ハレンチには程遠い』
X / @TachibanaMay