【連載】橘めいの『いつだってファイティングポーズ』
第15回 ナンパのすゝめ
あれは確か1回目の大学1年生の時のこと。
(本当に自慢でもなんでもなく、あたしは大学1年生を3回やって、
卒業できる気がしないので中退しました!)
学食で超絶タイプなイケメンを見つけたあたしはどうしても彼とお近づきになりたくて、
毎日のように学食に張り込み、友達も巻き込んで彼に声をかける計画を練りました。
ストリート系のオシャレなファッションにスラっとした長身。、
池松壮亮みたいなベビーフェイスなのに短髪にニット帽にヒゲ!で、ツモ!
みたいな、サブカル女子が束になっても敵わないくらいのイケメンでした。
(そんな男に声かけようとしてたあたしもあたし!)
彼の姿を見つけるたびにどうしようどうしようわーきゃーわーきゃーと騒ぎまくり、
話しかけようとするとお腹が痛くなったり気持ち悪くなったりして、
声をかけるまでに結局2週間(!)・・・
当時のあたしはもちろんキラキラ量産型女子なんかではなく、
言うなれば「積極的で明るいブス」といった感じ。
男の子に話しかけて「おー!かわいこちゃんから話しかけられちゃったー!ラッキー!」
なんて思われるポジションからは程遠いところにいたのであります。
ある日遂に、友達と一緒に学食にやってきた彼が席を立った隙を狙って、玉砕覚悟で突撃!
一緒にいた友達に「あの、さっきまでここに座ってた人と友達になりたいんですけど、
紹介してもらえませんか?」と勇気を出して話しかけました。
友達の話では、彼はオシャレで有名なDJサークルのDJで、2つ年上の3年生。
当時のあたしにとって完全に『向こう側』の人だったのは間違いありません。
席に戻ってきた彼に、友達がニヤニヤしながら「お前と友達になりたいんだって~」
と言い、照れながらお互いに自己紹介をしました。
DJサークルの話や共通の友人の話をし、少し距離が縮まった気もして、
「今度イベント呼んでくださいよ~」などとかなり踏み込んで連絡先を聞こうとしたその時。
「ケータイ番号・・・ちょっと待ってね・・・」とケータイを取り出した彼は、
「あ、そうそう」と言って、自然に待ち受け画面をあたしに見せました。
そこには当時の押切もえみたいなイケ女(イケてる女)が犬を抱いてほほ笑んでいました。
そしてあろうことか彼は「あ、これ俺の彼女!」と笑顔であたしに告げたのです。
・・・18歳のあたし、瀕死。
「え~綺麗~!」なんつって「あ、あたしあのそういう重い感じじゃないんで気にしないでくださいね~!」なんつって「じゃ!」なんつって、自分の友達が固唾を飲んで見守ってくれていたテーブルまでほうほうの体で戻ったのであります。
・・・茶番かよっ!!
あたしの淡い憧れは、恋になる前に終わりました。
今なら彼の気持ちもわかります。
いくらイケメンとは言え21歳だもん。
そりゃ正面切ってナンパされたら、怯むよね~!
(しかも相手はあたしだし。)
でもあの時のあたしは本当に、強がりとかではなく、彼と友達になりたかった。
自分の手の届かないところにいるような『向こう側』の人だからこそ、友達になりたかった。
だってこんなカッコイイ人と知り合える機会、逃したら絶対もったいない!って思ってたんだもん!
そしてそのマインドは変わらず、歳だけを重ねました。
歳を重ねたあたしは、ナンパに2週間もかけるようなことはしません。
ものの10分です。
かっこいい男の子がいたら即、声をかけます。
だってLife is very shortだよ?
あの頃、自意識が線引きしていた『こちら側』とか『向こう側』なんて意識もなくなった。
イケメンはイケメン!
ただ尊いものとして愛でればいい。
「わ~!かっこいい~!LINE交換してくださ~い!」で、オッケー!
大人(ババア)になるのも悪かないです。笑
だって声をかけずにいたら、どんなイケメンもまるで興味のない男も
同じようにただの知らない者同士として通り過ぎていくだけだよ?
そんなのってもったいないじゃん!
あなたが相当かわいければもしかしたら気に入った相手から声をかけてもらえることもあるかもしれないけど、そんなことが実際あるかどうかは美人の友達に聞いてみればいい。
あたしの場合は結婚してるから、彼女になりたいとかそういう目的があるわけでもないし、
だから軽く声をかけられるんでしょ?って思われるかもしれない。
でも『声をかける』という行為そのものに、どんな意味がくっついているかどうかは重要じゃない。
付き合いたいとか、抱かれたいという目的があろうがなかろうが、
まず、声をかけないことには始まらないのだ!
そんでもって「好意を持ってるって思われちゃうかな?」っていう自意識はまったくの無駄!
だって好意を持ってるのは事実だもん!
それを隠して駆け引きしようなんてどんだけいい女気取りなんだっつうの。
と、これまでの経験から自戒を込めて申し上げます!
声をかけるか、かけないか!
ナンパ or ナッシングだよ!
さあみんな、街へ繰り出したまえ。
◆ライタープロフィール
橘めい
『Ladies Motivation Project』代表
(通称LMP=すべての女たちがそれぞれ自分自身の美しさを肯定し、ありのままの自分を謳歌し、生き生きと力強く楽しんで生きることを応援するプロジェクト。)
モチベーター/ライター/イベントプランナー
男と女、恋やセックス、女の自意識と加齢などについて日々考え続けている33歳。酒と映画と男をこよなく愛しています。パワースポットは歌舞伎町(二丁目含む)。一応、一児(6歳男子)の母。
BLOG /『ハレンチには程遠い』
X / @TachibanaMay
提供:GIRL’S CH