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COLUMN

【短期連載】誰にも言えない体験談 第4回 不倫相手と最後の夜(前編)

※こちらのコラムは「GIRL’S CH」様からの記事をピックアップして掲載しております。一部内容に時差が生じることをあらかじめご了承ください。

年末年始、文章からの刺激をあなたに。筆者が取材した体験談をお届けします。

これは今から十年くらい前、私が20代後半だった頃のことです。
当時私は不倫をしていました。相手は会社の上司です。彼はいわゆる転職組で、年齢は五歳くらいしか変わらないのに仕事ができて、自分よりも年上の社員をうまく使うような器用なところがありました。私は新卒で入社をしているので他の会社を知らず、自分のいる会社でのやり方以外を知りません。だから、彼の仕事の仕方が、当時の私にとっては刺激的だったのでしょう、そんな彼がとてもかっこよく、仕事のできる男に見えたのです。
もともと彼が妻子持ちだということは知っていましたし、最初はそういう関係になるとは一切思っていませんでした。でもあるとき、職場の飲み会があり、そのときに彼に「昔付き合っていた彼女に似ている」と告げられたんです。今の奥さんとは、もちろん愛しあって結婚したのですが、その前にも一度、結婚を真剣に考えて、でもひどい振られ方をした女性がいたのだとか。どういうつもりで私にそんなことを言ったのかはわかりませんでしたが、そう言われると妙に意識してしまって、それ以来彼を上司としてだけでなく、ひとりの男性として見るようになってしまいました。彼もそれは同じだったらしく、以来ふたりで何度か飲みに行き、気づけば男女の関係になっていました。
不倫なんてありえない、と思っていた私でしたが、彼ってやり方が上手いんです。普段自分では行ったことのないようなレストランを予約してくれたり、かと思ったら、汚いけどものすごくおいしい焼き鳥屋さんに連れていってくれたり。ホテルのラウンジで飲んで、「今日はこのまま泊まるのかな…」と思ったら、ルームキーだけ渡されて私だけ泊まらせてくれたり。それまでの彼氏はそんな扱いをしてくれることはなかったので、そんな風にされたら当然、すぐに気持ちが舞い上がってしまいますよね。
結局、2年くらい不倫関係を続けましたが、気がつけば私ももう三十の手前。まわりの子は結婚したり出産したりする子も……。彼は「愛してる」って言ってくれましたが、一向に奥さんと離婚する気配はナシ。このまま関係を続けていても幸せにはなれないと思って、別れようと決意しました。
彼に別れる意志を伝えると、もちろん最初は驚いていましたが、既婚者の彼に私の幸せをどうこういうことはできません。結局は「君が決めたことなら……」と受け入れてくれました。
「でも、最後に一度だけデートがしたい」
もちろん私も彼のことは愛しています。気持ちが冷めて別れるのではないのですから。だから、自分としても最後の思い出にしたいと思って、彼の申し出を受け入れました。

待ち合わせに指定されたのは、何度か来た思い出のレストラン。いつもここでワインを飲みながら、他愛もない会話をしていたものです。
その日もいつものように、彼のオーダーは赤ワイン。もうここに来ることも、こうしてワインを飲むこともないのかと思うと、なんだか切なくなってしまいます。ワインのおいしさを教えてくれたのも、彼でしたから……。
食事を終えて、彼に連れられたのは、ふたりが初めて結ばれたホテルの同じ部屋でした。夜景がキレイな、自分が特別な存在であるかのように思わせてくれる部屋。
彼は私を窓辺に連れていきました。
「この部屋、覚えてる?」
「もちろん」
「あんなに緊張したの、久しぶりだったなぁ」
そう言いながら、私を抱きしめました。
そして、私の目をじっと見つめ、唇を重ねてきたのです……。

◆ライタープロフィール

百地優子

ピンク映画の脚本家としてデビュー。 以来、ピンク映画のみならず、Vシネ、AV、官能小説等を中心に執筆。