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ハリウッド実写版『攻殻機動隊』公開記念!シリーズ一挙まとめハリウッド実写版『攻殻機動隊』公開記念!シリーズ一挙まとめ

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1989年、まだインターネットが登場しない頃、士郎正宗作のSFコミック『攻殻機動隊』は世に出た。この漫画を核とし映像化されたのが劇場版『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『攻殻機動隊 ARISE』といった作品群だ。どの作品も参加したクリエーターの色が良く出ており、日本のみならず世界中で愛されている作品だ。   様々な戦火を経験し、人の意識をコンピューターに接続する『電脳化』、サイボーグのような身体をつくる『義体化』など高い科学技術を持つ、われわれの知らない21世紀。そんな世界でサイバー犯罪に立ち向かう公安9課、通称“攻殻機動隊"に属する主人公・草薙素子や相棒バトーらの物語が『攻殻機動隊』シリーズだ。日本だけではなく世界にも通ずるサイバーパンクな世界に足を踏み入れるためのシリーズ作を、これより紹介していこう。

Recommended Movie No.01

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(c)1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT/提供バンダイチャンネル

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊

(1995年)

あらすじ

超高度ネットワーク社会での犯罪に対処するため設立された、公安9課。彼らの下に、他人の電脳を支配し思うがまま操る国際指名手配犯のハッカー“人形遣い”が入国したとの報せが入る。公安9課の隊員である草薙素子は“人形遣い”の影を追ううち、自分自身が抱いていたある疑問に直面する。

紹介理由

1995年に制作された、攻殻機動隊シリーズ初の映像化にして劇場作品。海外でも公開され、アメリカ『ビルボード』誌ビデオランキングで1位に。その話題性と実績により、再び日本でも盛り上がりを見せたという逸話がある。この作品から、攻殻機動隊は世界に広がるコンテンツとなった。公安9課に所属する草薙素子と相棒のバトーは、正体不明の“人形遣い”を追い、21世紀の日本を駆け抜ける。

素子は自身の肉体を義体化(サイボーグ化)しており、自らが人間であるのか機械であるのか悩み続ける。やがてこの疑問は、意志とデータもない空の義体が暴走する事件により一つに集約する。「人間の意志、魂はどこにあるのか」そんな哲学的な命題を抱えつつ、素子も視聴者も機械でできた幻惑の世界にダイブする。世界の底で待ち構えているのは、衝撃的な結末だった。

  2008年には新作カットやCG映像を追加しリニューアルした『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0』が製作公開。2017年4月に日本公開予定の実写版リメーク作品『GHOST IN THE SHELL
ゴースト・イン・ザ・シェル』(主演:スカーレット・ヨハンソン)も、この作品をベースにしている。今の攻殻機動隊の基礎とも言える作品である。

Recommended Movie No.02 & No.03

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG (C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会/提供バンダイチャンネル

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX

(2002年)

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG

(2004年)

あらすじ

西暦2030年の日本、情報ネットワークに蔓延する犯罪に対処するための組織、公安9課が設立された。草薙素子を中心に犯罪摘発や要人警護といった様々な任務に挑む彼らだったが、そんな日常の裏では、凶悪な犯罪者や9課に敵対する組織による大事件が起ころうとしていた。

紹介理由

『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』より後に制作された、攻殻機動隊のTVシリーズである『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』と『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』。前者が第一シーズンであり、後者が数年後に公開された第二シーズンとなる。ストーリーは地続き、参加スタッフもほぼ同様と、2タイトルまとめてのTVシリーズ“攻殻機動隊”だ。

このTV版攻殻機動隊は、原作コミックスや前述の『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』の重要キャラであり結末にも関わった人形遣いと草薙素子が出会っていない世界である。草薙素子は9課の一員として、様々な事件に相棒バトーら9課の面々と共に立ち向かっていく。

『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』との大きな違いは、他の9課の面々の描写やドラマにさく時間が出来たことだろう。原作ではあまり出番も無くモブ扱いだったキャラも、大きく肉付けされている。もちろん、素子やバトーの描写も増えており、例えば今までぼかされてきた素子の恋愛に関する話などにも踏み込んでいる。
話の構成としては、一話完結型のエピソードと、シリーズを通しての脅威となる大事件の二重構造である。人形遣いの存在は無くとも、9課の前に現れる犯罪者は、課の存続や素子の運命に関わる危険人物ばかりだ。『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』のラストにて、素子は9課を離れることになる。何故彼女が離脱したのか。それは是非とも、自分自身の目で確かめて欲しい。

Recommended Movie No.04 & No.05

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven (c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会/提供バンダイチャンネル

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man

(2005年)

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven

(2011年)

あらすじ

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』で起きた“笑い男事件”と『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』の“個別の11人事件”。TV本編のメインストーリーとなった2つの事件に関わる部分を抜粋し、2時間超の映像として再構築した特別編である。

紹介理由

大事件と日常編、二重構造で構築されていたTVシリーズ。その片翼となるシリーズ全体を担った大事件をテーマとして再編集した特別編であり、それぞれTVシリーズのタイトルと同じ名を冠している。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man』ではTV第一シーズンで起きた“笑い男事件”。『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven』では第二シーズンの“個別の11人事件”をテーマにしている。 2つの大事件を通して見えてくるのは、SFドラマである攻殻機動隊のSF以外の部分である。再び起こった未解決事件と、政治情勢にも関わる事件。9課は時に足で情報を稼ぎ、身内であるはずの組織による圧力に苦しめられる。この構図は、現代社会を舞台とした、刑事ドラマを思い起こす。そしてサイバーという装飾はあるものの、笑い男事件は企業を脅迫した劇場型犯罪、個別の11人事件は難民問題に端を発するテロと、現実に起こりうる、起こった事件である。TV版は比較的現実社会に即した面を持っていると言えよう。 TV版の全てを追うわけではないものの、重要なポイントを抑えた二作。TV版を観たことのない人も、一度通して観た人も、どんな立場の人でも新鮮さや回顧として楽しめる作品だ。

Recommended Movie No.06

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会/提供バンダイチャンネル

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society

(2011年)

あらすじ

『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』での草薙素子の失踪から2年後。再編成された公安9課に、バトーは馴染めぬままだった。次々と起こる怪事件の裏から浮かび上がる、謎の存在“傀儡廻"。事件を単独捜査するバトーは、素子と再開するものの、素子は謎の警告を残し消えてしまう。やがて、一つの疑いがバトーの中で湧き上がる。「傀儡廻の正体は、素子なのではないのか?」と

紹介理由

『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』の続編となる、長編エピソード。ポジションとしては、第一シーズンと第二シーズンに続く、第三作ということになるだろう。 この作品における犯人は傀儡廻である。超ウィザード級ハッカーである以外、正体不明な存在。傀儡と人形、そして役回りや能力と、傀儡廻は『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』の犯人であった人形遣いに非常に酷似している。いわばこの作品は、TV版『攻殻機動隊 S.A.C.シリーズ』における、人形遣い事件である。 児童虐待、老人介護。この作品もまた、現実社会における深刻な問題が潜んでいる。更に傀儡廻は、SFならではの不可思議さで事件と作品を迷宮へと導く。果たして、傀儡廻の正体は本当に素子なのか?  傀儡廻の目的とは一体?  謎が解き明かされた時、再び素子は選択を突き付けられる。『攻殻機動隊 S.A.C.シリーズ』の最終作に相応しい完結編だ。

Recommended Movie No.07

攻殻機動隊ARISE(c)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会/提供バンダイチャンネル

攻殻機動隊ARISE

(2015年)

あらすじ

現在の警察組織に限界を感じていた公安の一員、荒巻大輔。陸軍501機関所属の向こう見ずなサイボーグ、草薙素子。偶然出会い、付かず離れずのまま、幾つもの怪事件を捜査することになる二人は「どんな犯罪にも立ち向かえる精鋭部隊」を欲するようになる。そんな二人が求める人材、素子を仇と狙う元特殊部隊のバトーや、特捜刑事のトグサ。精鋭に相応しい人間が、徐々に集まっていく。キャラデザインや声優を一新した攻殻機動隊の新シリーズ『攻殻機動隊ARISE』。時間軸としては、公安9課が設立される前であり、荒巻が9課の課長となり、素子が“少佐"として課員を率いるのは先の話である。『攻殻機動隊ARISE』は、彼らが9課を設立し、素子が“少佐"の名を得る過程を描く、前日譚だ。

紹介理由

各60分で全四話となる、『攻殻機動隊ARISE』。この作品では、見知った素子やバトーではなく、荒削りな素子や敵対するバトーと、いつもと違う9課メインメンバーの姿が見られる。いかにして彼らが纏まりとなり9課となるのか。新シリーズとなり、一層SF色を強めた犯罪との戦いを追いつつ、その過程を見守ることが出来る。とは言っても、この作品にて攻殻機動隊は完全なる形とはならない。公安9課が我々の知る形となるのは、後日談となるパイロマニア事件『攻殻機動隊ARISE PYROPHORIC CULT』を経た後の、次回作となる。

Recommended Movie No.08

攻殻機動隊 新劇場版(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊 新劇場版」製作委員会

攻殻機動隊 新劇場版

(2015年)

あらすじ

大使館立てこもり事件は人質による犯人射殺という不可解な結果で終わり、その同時刻、現役の総理大臣が爆弾により暗殺された。同時に発生した戦後最大級の事件。仲間と共に事件を追う素子は、政治を二分する技術障害“デッドエンド"や電脳ウイルス“ファイア・スターター"と直面する。この二つの脅威は、素子の秘められた出生と繋がっていたのだ。

紹介理由

『攻殻機動隊ARISE』と地続きとなる作品。『攻殻機動隊ARISE PYROPHORIC CULT』は『攻殻機動隊 新劇場版』の前日譚であり、両作を繋ぐミッシングリンクとなる。 攻殻機動隊の最新作となる本作。原作コミックスや『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』と通ずる味付けをしつつ、TVの『攻殻機動隊 S.A.C.シリーズ』で培ったチームとしての描写を取り入れ、ベースと個性は『攻殻機動隊ARISE』準拠と、いわば今までの攻殻機動隊の集大成とも言える作品になっている。 世界を震撼させる、攻殻機動隊誕生の瞬間。比喩ではなく、攻殻機動隊が誕生する瞬間は、身を震わせる興奮と感動がある。この作品のラストシーンの衝撃は、攻殻機動隊シリーズならではのものだ。集大成であり前日譚でもある『攻殻機動隊 新劇場版』。その歩みの先は、当然――

まとめ

駆け足で攻殻機動隊シリーズの作品を紹介させてもらったが、いかがだっただろうか? この他にも攻殻機動隊は映像作品やメディア共に多数の作品があり、実際今回取り上げた作品に関しても、まだまだ書くべきことはある。気になった作品を見て、攻殻機動隊の広大な世界にダイブして欲しい。前述した、公開間近のハリウッド実写版『GHOST IN THE SHELL ゴースト・イン・ザ・シェル』だけでなく、オンラインPCゲームである『攻殻機動隊S.A.C. ONLINE』も稼働を開始した。攻殻機動隊の未来は、いまも途絶えることなく創り続けられている。

紹介作品一覧