ファンタジー系のゲーム/小説を元にしたクリエイティブが、盛り上がりを見せている。去る2016年8月2日、人気オンライン小説『ソードアート・オンライン』がハリウッドで実写テレビドラマ化されることが発表された。また、11月に発売延期されたものの、人気ゲーム・ファイナルファンタジー(以下FF)15はいち早くVRバージョンの制作を公表。PlayStationVRの予約は常に抽選待ちとなり、VR技術そのものの勃興と相まってますます注目を集めそうだ。 そこで今回は、そんなゲームのファンタジーにどっぷり浸ることができる、ゲームをモチーフにしたアニメ10作品を紹介する。
Recommended movie No.01
■注目ポイント■
本作は、FINAL FANTASY XV(以下、FF15)に先駆けて公開された劇場版映画だ。ゲームの前日譚を扱ったものであり、原作とはストーリーが異なる。分類すれば、外伝のようなフル3DCG映画である。特徴は、その3D技術のクオリティ。CGにもかかわらず、ほとんどのカットで役者が演技しているようにしか見えないレベルまで極まっている。顔の表情には繊細なしわまで表現されており、布の表現やキャラクターの動きも含め、一つ壁を突破している印象だ。
本作は脚本を長谷川隆に依頼し、それを海外のスクリプトドクターに回して脚本の完成度についてキッチリ検証した。その結果、世界観に入り込みやすい、スキのない作りになっている。なにより、3DCGで描かれる「本当は存在しない世界」の描写が本作品のキモだろう。車や高速道路が存在するなじみ深い現代的な世界に、剣や魔法、巨大なモンスターやメカ、王国といったガジェットが入り混じる。どれもが美しく魅力的。中盤の巨大モンスターによる街の大破壊のスペクタクルや、人間を超える動きのアクションもすばらしい。
制作に参加しているCGスタジオは日本に加えイギリス、ハンガリー、マレーシア、スペイン、カナダ、タイ、フランス、インド、ポーランド、中国など多国籍の会社が名を連ねる。邦画というよりも、日本の会社が主導したグローバル作品といえるかもしれない。日本発のエンターテイメント作品の底力を感じる一級品の映画だ。
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■注目ポイント■
一見、小学生を主人公にした古いジュブナイルものに見える。だがこれがどうして、コッテリしたSF作品なのだ。登場人物たちは、眼鏡型のウェアラブルコンピューターを身につけている。現実世界にCGキャラクターを溶け込ませ、眼鏡を付けているかぎりコンピューターキャラが存在するように見える。拡張現実、ARシステムが前提となっているのだ。昨今流行りのポケモンGOが、眼鏡にくっついている感じだ。
AR技術自体は昔からあり、脚光を浴びるのは何度目かのこと。3DSは初代からARゲームがプリインストールされているし、初音ミク関係でも様々なアプリが出ている。とはいえ本作の公開時(2007年)、ARはさほどメジャーではなかった。にもかかわらず、細かい説明抜きで話が進む。すべて絵と演出で説明しきってしまう、かなり並外れたことをしている。
プロットは、古典的な少年探偵団もの。ARメガネなどのSF的な世界も、それらに真実味を持たせてワクワクさせるために機能する。デジタル世界における「力」は、子どもたちが活躍できる世界を与えてくれるのだ。本来のターゲットである子どもにも伝わる作りになっている。
監督は、磯光雄。寡作な部類に入る監督だが、腕利きのアニメーターとしても有名だ。彼にかぎらず、本作には多数の凄腕アニメーターが参加している。一見地味に見えるが、実は歩きや走りしぐさの一つ一つがキャラクターごとに異なり、定型的な描き方をしていない。多くの人に見てほしい、傑作である。
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(C)2013 Touno Mamare/PUBLISHED BY ENTERBRAIN,INC./Projectまおゆう
まおゆう魔王勇者
(2013年)- 声の出演:
- 小清水亜美,福山潤,斎藤千和,戸松遥,東山奈央,沢城みゆき,神谷浩史,福圓美里,平川大輔,立花慎之介,鈴木達央,梶裕貴,寺島拓篤,チョー,伊藤静,町田政則,藤井麻理子,東地宏樹,松井恵理子,大塚芳忠
- 関連情報:
- 監督:高橋丈夫,シリーズ構成:荒川稔久,キャラクターデザイン:工藤昌史、烏宏明,総作画監督:烏宏明,助監督:さんぺい聖,音楽:はまたけし,音響監督:亀山俊樹,美術監督:小濱俊裕,美術設定:青木薫,色彩設計:佐野ひとみ,撮影監督:阿部安彦,編集:平木大輔,プロデュース:ジェンコ,制作:アームス,OPアーティスト:YOHKO,EDアーティスト:新居昭乃
- 配信形式:
- ストリーミング動画
■注目ポイント■
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」。勇者「断る!」。もとは2chのSS(サイドストーリー、ショートストーリーの略。二次創作)の形で発表された。物語は会話体で描かれ、スジが必ずしもあるわけではない。元のウェブ小説は読み手も掲示板で書きこんで参加できるため、ライブ感がある。
本作の冒頭は、ドラクエのようなRPGのラストから始まる。勇者が魔王を倒し、世界は平和になりました、めでたしめでたし……。しかし、そんなエンディングを遮り、読者に問いかけるように「魔王は本当に悪者なのか?」という言い分が語られる。「魔王の言い分は、現代からみた場合どうなのか?」。当時、この視点は非常に斬新だった。このオープニングを起点に書かれた無数のストーリーを束ね、物語として再構成したのが本作である。
原作の細部はうまく整理されており、魔王は巨乳美女という設定に変更。というか、第一話ではほとんど魔王のゆれるおっぱい描写しか記憶に残らないほどだ。小難しい話が続く作品における「第一話はお色気山盛り」メソッドは、その後数多くのフォロワーを生むに至っている。
魔王の目的は、経済と知識を武器にした新たなる世界の創造だ。実際の技術史の流れを汲み、馬鈴薯やトウモロコシなどの作付け、輪作農耕がもたらすインパクトなどが丁寧に描かれていく。実際の歴史では、農耕の効率化によって暇な人間が都心を目指すようになり、遂には革命を起こしたりするのだが、これはあくまで異世界での話のこと。イチイチ突っ込みを入れるのは野暮というものだろう。
物語はキャラクターの成長とともにドライブし、見事な大団円を迎える。ちょっとひねっていながらも、王道を行く作品である。
Recommended movie No.04
ロードス島戦記
(1990年)- 関連情報:
- 製作総指揮:角川歴彦,企画:田宮 武,原作:安田均、水野 良,シリーズ構成:渡辺麻実,音楽:萩田光雄,キャラクター原案:出渕 裕,キャラクターデザイン・総作画監督:結城信輝,サブキャラクターデザイン:箕輪 豊,美術監督:金子英俊,撮影監督:石川欣一,音響監督:本田保則,プロデューサー:池田憲章、丸山正雄,コーディネーター:高梨由美子,総監督:永丘昭典,オープニングアニメーション:井上俊之,プロローグアニメーション:りんたろう、兼森義則,制作協力:マッドハウス,
- 配信形式:
- ストリーミング動画
■注目ポイント■
ベストセラーファンタジー小説のアニメ化作品。しかし、成立の経緯は一風変わっている。
RPGといえば、日本ではドラクエなどコンピューターによるRPGを指す。しかし、実は日本におけるRPGが流行る以前(1974年)、アメリカで『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』(以下、D&D)というテーブルゲームが発売された。コンピューターRPGはこれを再現しようとした、というと語弊があるが、少なくとも意識していたことは間違いない。
『D&D』はアメリカで当時かなり流行しており、映画『E.T』冒頭ではこのゲームを遊ぶ場面が出てくる(作中では何のゲームか明言はしていないものの、メイキングにおいてエリオット役の子が「E.TとD&Dをプレイする夢をみた」と発言)。
この作品が日本に紹介される際は、プレイ風景を文字起こしして書き出すという手法がとられた。前置きが長くなったが、この『ロードス島戦記』の大本はゲーム雑誌に載ったリプレイ記事である。それが小説としてリライトされたものが、人気を博した経緯がある。文体は今にしてみると格調高く重めではあるのだが、当時はゲームも含むファンタジーブームでもあり、ちょっと背伸びしたい世代にもウケた。
本作は、人気が絶頂のころに作られたアニメだ。デジタル前夜のフィルム撮影セルアニメなのだが、その発色は官能的ですらある。イラスト絵としての魅力がギッチリ詰まった高密度な作画は、今ではあまりお目にかかれない。ストレートな西洋風ファンタジービジュアルというのも、当時はかなり珍しかった。
戦乱が絶えない呪われた島、ロードス島。戦乱の裏には、糸を引く者がいた。『灰色の魔女』編では、戦乱を引き起こし続けてきた魔女・カーラとの決戦が描かれる。魔法の効果などに多少の古さを感じたり、あまりに高密度な作画すぎて動かない竜もいたりするのだが、ひねくれ具合のないヒロイックなストーリーだ。主人公が国を救い、英雄となる物語は安心感とカタルシスがある。
Recommended movie No.05
■注目ポイント■
原作はガラケー全盛時代から『モバゲー』に提供されていた、文字通りのソーシャルゲーム。2011年から続いているこのタイトルは、ソーシャルゲーム界では異例の長寿である。そのアニメ化なのではあるが、実際のところ元のゲームはストーリーや世界観がカッチリ決まっている感じでもない。しかし今作は、恐ろしく硬質なファンタジーアニメに仕上がっている。
驚くのは、画面とキャラクターデザインだ。リアル系作画を得意とする恩田尚之氏が作画を務め、立体感のあるコッテリとした造形に仕上げた。監督およびコンセプトデザインワークスは、『TIGER & BUNNY』のさとうけいいち氏が担当。骨格から筋肉まで、アメコミ映画もかくやという出来栄えだ。
本作は、美形キャラクターが多いものの、いわゆる萌え絵とは一線を画す。主人公はアフロヘア、もう一人のレギュラーはリーゼント。ヘルヘイムという土地にヒロインの少女アーミラを連れていくエスコートストーリーであり、敵味方入り乱れながら友情や恋愛を描いていく。アクションシーンの割合もふくめ、バランスがとてもいい。
丁寧かつ気合の入った画面を、これでもかという圧倒的物量で突っ込んでくる。3DCGも含めて馬がばんばん走るし(四足動物のアニメートは難しい)、重そうな鎧を着たモブキャラもいる。極め付けは、終盤の周辺を巻き込むスペクタクルだ。リッチさでは比類なく、ハリウッド映画のような満足感があるだろう。
Recommended movie No.06
■注目ポイント■
Fate/stay nightは、息の長いシリーズだ。大本は18禁ゲームが原作で、現在はスマートフォンゲームでも人気を博している。映像化作品だけでもテレビアニメ版、劇場版、スピンオフアニメ版、OVA版、さらに格闘ゲームやRPGもある。様々なメディア、ジャンルにわたり10年以上も続いている人気シリーズだ。
本作はStay nightの2回目のテレビアニメ版となる。2作目だがゲームでいうところの「別ルート」扱いなので1作目とは別物。制作はufotableで、キャラクターデザインは複数ある。このスタジオの作品が特徴的なのは、とにかく動かしまくること。アクションシーンは特に、キャラクターの動きの質感に注目してほしい。
舞台は現代。いわゆる「伝奇もの」に属するジャンルで、設定は細かく複雑。『聖杯』と呼ばれる、なんでも望みを叶える宝物を巡り、7人のマスターたちがサーヴァントと契約し聖杯戦争に臨む。
超人的な力を持って戦うのはサーヴァントであり、操るマスターは普通の人間。いわゆる『中二心』を刺激してくれる作品だ。いまやマイナスの意味に捉えられることも多い形容詞だが、思春期において全能感と抑圧が暴走する中、「自分を愛してくれない現実と向き合う」とき、こうした物語はどれだけ救いとなることだろうか。本作が長く愛されるのは、誰もが経験する『中二』の妄想がたっぷり詰まっているからに他ならない。
Recommended movie No.07
(C)2016 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/このすば製作委員会
この素晴らしい世界に祝福を!
(2016年)- 関連情報:
- 原作:暁なつめ(株式会社KADOKAWA 角川スニーカー文庫刊) / 原作イラスト:三嶋くろね / 監督:金崎貴臣 / シリーズ構成:上江洲誠 / キャラクターデザイン:菊田幸一 / 音楽:甲田雅人 / 音楽制作:日本コロムビア / アニメーション制作:スタジオディーン / 製作:このすば製作委員会 / オープニング主題歌「fantastic dreamer」 / エンディング主題歌「ちいさな冒険者」
- タグ:
- TV放送中アニメ
- 配信形式:
- ストリーミング動画
■注目ポイント■
2016年春に放映された、ホヤホヤの新作アニメ。ここ数年、ファンタジー……というかRPG風の異世界に転生をモチーフとした作品が次々と発表されているのだが、その核にあるのが「小説家になろう」というサイトだ。要は小説の投稿サイトなのだが、投稿される作品ジャンルや書く人の資格に制限はなく、誰でもどんなものでもアップロードすることができる。
ただし、読まれた回数でランキングが付く。その中でやたらと人気があるのが「異世界転生もの」である。おおむね、現実世界では冴えない人間が異世界に転生し、その現代知識を利用して無双するというプロットだ。ランキングが可視化されユーザーが増えれば増えるほど何がウケるのかは収束し、上位層の多様性が減ってくる。それは、色々なところで散見される現象である。
本作はさえない主人公が死んで異世界に転生する」という導入こそ同じだが、いわゆる「無双要素」「俺つええ」感がない。異世界のほうでも金もないし弱いしで、まずは土方のアルバイトから始まり馬小屋で寝泊まりする。お約束要素をイチイチ逆転させパロディにしているわけだ。
女性陣がぬるぬるになったり、無駄にフェティッシュな表現があったり、変態女騎士がでてきたり。特に9話のサキュバスの淫夢サービスの店をモチーフとした「この素晴らしい店に祝福を!」ではもう何か振り切っている。胸ゆれ作画も盛り盛りで、スタッフの悪ノリは頂点に達する。大人が眉をしかめる低俗さ、ハイとローがカオスに同居する。これぞ日本アニメ文化の極北!
Recommended movie No.08
■注目ポイント■
GOD EATERの原作となったゲーム、ジャンルはいわゆるモンハン系のハックスラッシュ。「神機」とよばれる特殊な武器を振り回し、デカい化け物を狩るゲームである。
テレビシリーズである本作の最大の特徴は、そのビジュアルだ。セルアニメとは違う、実線のないイラストレーションのような質感の絵がグリグリと動く。多くは手描きでなく3DCGだ。この質感の絵が目に新しいし、完成度も高い。とくに敵、劇中でアラガミと呼ばれる存在が毒々しく、情報量が詰まっていてぞわっとくる。
イラスト風の3DCGキャラクターはどこか無理がでるものだが、全体的にみれば「絵」としてまとまっている。この新しいビジュアルの快感は、他にないものだ。バトルシーンには長く尺が割かれ、ケレン味のあるセリフも重厚な画面にバッチリ決まる。
最初は無謀な新入りに過ぎなかった主人公が、終盤に近付くにつれチームワークを発揮していく。「こんな相手勝てっこない」という超強力な敵、テンンションの上がるアクションとも相まって、これだけのものを見せてくれれば文句はありません! セル風アニメじゃないからといって避けるのは、もったいない佳作である。
Recommended movie No.09
■注目ポイント■
.hackは、それ自体がプロジェクトの集合体である。同名のゲームもあるが、もともとメディアミックスを前提とした作品だ。.hack//SIGNはその中でもテレビシリーズとして作られた。キャラクター原案はエヴァの貞本義行、脚本をガメラ・パトレイバーの伊藤和典が担当。かなりのビッグプロジェクトだった。
MMORPG(オンラインゲーム)をモチーフとしたアニメとしては先駆けなのだが、いまにして思えば早すぎたのかもしれない。制作は2002年であり、ファイナルファンタジー11こそ発売されたものの、周辺機器を買わなければプレイできなかった。『ログイン』『ログアウト』という言葉もさほど一般的ではなかった時代なのに、本作の劇中にはバンバン登場する。アジア圏の民族風なビジュアルも、当時としては親しみにくいものだった。
しかし今の時代になれば、ビジュアルや描写のどれもが独自性に満ちていることがわかる。VRシステムを利用したMMORPGということは匂わせるだけだったりするし、ゲーム内で物語は進むものの現実世界ではどうなっているのかが話題に上がる。
ゲームならではの「一方的なコミュニケーションの切断」や、コミュニケーション不全ゆえに仮想現実にはまり込んでいってしまう姿を描いているのも当時としては新しい。ゲームが、多くの人にとって『異物』であった時代の感覚が反映されている。
アクションシーンは比較的少なめで、必ずしも快感の多い作品ではない。だが、この作品でしか味わえない味がある。世界観に馴染みやすくなった今こそ再視聴してもらいたい作品である。
Recommended movie No.10
(C)川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project
ソードアート・オンライン
(2012年)- 関連情報:
- 原作: 川原 礫(電撃文庫/アスキー・メディアワークス刊) 原作イラスト キャラクターデザイン原案: abec 監督: 伊藤智彦 キャラクターデザイン: 足立慎吾 サブキャラクターデザイン: 川上哲也 総作画監督: 足立慎吾/川上哲也 アクション作画監督: 柳 隆太/鹿間貴裕 メインアニメーター: 斎藤敦史 モンスターデザイン: 柳 隆太 プロップデザイン: 土屋祐太/鹿間貴裕/千葉 茂 色彩設計: 中島和子
- タグ:
- 感動アニメ特集
- 音声言語:
- 日本語
- 制作年:
- 2012
- 制作国:
- 日本
- 配信形式:
- ストリーミング動画
■注目ポイント■
もともとWeb小説として発表された本作ソードアート・オンライン(以下、SAO)。2016年現在、SAOのような「なろう系小説」が書籍化、そしてアニメ化することは「よくあること」だが、ソードアート・オンラインが公開されたころはそうではなかった。その間、ほんの数年しかないことに驚いてしまう。
SAOは、バーチャルリアリティによって構築されたゲーム世界から主人公たちが出られなくなってしまい、ゲーム内の生死が本物になってしまうところから始まる。アイデアだけ見れば、そこまで珍しいものではない。SAOが他作品と違ったのは、「MMORPGあるある」モノでもあったことだ。
情報こそが力を持つこと、トッププレイヤーへの畏敬、ギルド、ラストヒット時のレアアイテム獲得、レイドバトル(複数人で協力してボスと戦うバトル)……「ゲームあるある」なディテールの数々が、キュンとくる。原作者は、ディープなMMORPGファンでもあるのだ。
MMORPGをやったことがある人、興味がある層をSAOはガッチリ捉えた。アニメ放映後、世にあるMMORPG内では「キリト」(SAO主人公)という名のプレイヤーが爆発的に増え、SAOクローンといえるような作品が多く世に出たほど。
SAOのフォーマットは魅力的だ。まず、主人公が異世界で最強であること。主人公キリトはゲームマニアであり、ベータ版からのプレイヤー。現実世界はどうあれ、この世界ではすごく強い。このモチーフは魅力的で、かつ普遍的。ヒーローだってロボットものだって、要はこの「タナボタ的に超強力な力を手に入れる」というフォーマットなのだ。
そして、モテる。なんなら、ハーレム状態にもなる。もともと、SAO原作の第一巻は『アスナ』というメインヒロイン一人とのボーイミーツガールものとしてまとまっていたのだが、アニメ版は外伝なども取り入れて再編成している。そのあたりの華やかさも、魅力の一つだ。
ストレートな西洋+SFファンタジー系ビジュアルに加え、モンスターとのバトルシーンも多い。これも、凝りに凝った作画で見せてくれる。派手なパース付きでグリグリとカメラワークを見せたり、剣戟や爆発のエフェクトも丁寧に作られる。見せたいものを見せてくれる、ウェルメイドなファンタジーアニメの傑作である。
上記10本を掲出したものの、実のところこうしたファンタジーものの作品は今大流行しているジャンルだ。
近作を挙げるだけでも、その数は膨大となる。関連作も多数出ており、例えば『.hack』だけでもかなりの本数になる。『Fate』にしても、スピンオフ作(『ZERO』)だけで2期(25話)もあるのだ。さらに『まおゆう魔王勇者』の作者は、ゲームをモチーフにしたログ・ホライズンという作品を書いており、アニメ化もされている。まさに、枚挙に暇なしという表現が適切だろう。上記10本はあくまで代表作。ファンタジーファンは嬉しい悲鳴を上げつつ、次々と探索していってほしい。
紹介作品一覧
その他、関連作品一覧
(C)2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.(C)磯 光雄/徳間書店・電脳コイル製作委員会(C)2013 Touno Mamare/PUBLISHED BY ENTERBRAIN,INC./Projectまおゆう(C)水野良/グループSNE/角川映画/丸紅/東京放送(C)神撃のバハムート GENESIS(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC(C)2016 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/このすば製作委員会(C) BNEI/PROJECT G.E.(C)Project .hack/提供バンダイチャンネル(C)川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project(C)1998 水野良・グループSNE・夏元雅人/ロードス島戦記プロジェクト/テレビ東京(C)TYPE-MOON/Fate Project(C)Nitroplus/TYPE-MOON・ufotable・FZPC(C)Project .hack/提供バンダイチャンネル(C).hack Conglomerate/提供バンダイチャンネル(C)Project .hack/提供バンダイチャンネル(C).hack Conglomerate/提供バンダイチャンネル(C)2012 .hack Conglomerate/提供バンダイチャンネル(C)2014 川原 磔/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAOII Project(C) 川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project